館長あいさつ
2018年(平成30年)は、万葉以来の大歌人斎藤茂吉の業績が、多くの識者の熱意によって、生地上山に記念館として創設され五十周年の節目の年であった。それを記念し永年の懸案であったリニューアルエ事も立派に完成し、時代の要請にあった文学館として、どなたにもお出でいただけ、利用していただけ、しかも内容の充実した公益財団法人斎藤茂吉記念館として新たな出発をすることが出来た。
これを実現できたのも、地元先進の長年にわたる御努力、公私にわたる大勢の方々の文化芸術愛、斎藤茂吉尊敬の思いが実を結んでいるわけで、後進の一人として、先ず深く頭(こうべ)を垂れて感謝を申し上げる次第である。
茂吉は、多くのすぐれた人々に出会い、そうした人々から多くを咀嚼して大成している。茂吉が少年のころから尊敬した書家中林梧竹の真筆類、あるいは友人の画家平福百穂の作品など、茂吉関連資料も多く所蔵できている。つまり、表に出ていない資料も当館には極めて豊富である。新しい斎藤茂吉研究・茂吉論のために資料はここに整ったと言ってよい。広く活用され、とにかく茂吉が見られ、茂吉が語られ、そうして茂吉を究めて欲しいと願ってやまない。殊に若い歌人や学生に私はとりわけ期待している。
今回前途洋々たる新スタートをすることができたのも知事さんを始め山形県の関係者、上山市長さんをはじめ、市の関係者。各種経済・産業・文化団体等の皆さん、短歌関係団体の皆さん、広く茂吉ファンの皆さん、報道関係の皆さん等々に、有形無形の御支援をいただいた。地元に根づき支えられている斎藤茂吉記念館であることを改めて肝に銘じ、記して感謝申し上げ活用を図る所存である。なお、当館をすでに退いている旧職員の皆さん、現職員の皆さんの努力にも敬意を表し、御挨拶とさせていただく。
斎藤茂吉記念館館長 秋葉 四郎